◎妖怪愛好家の夢・白澤計画がついに!!◎
村上健司

 妖怪が好きで好きでたまらないという人は結構いると思う。そして、妖怪の世界で遊んでいる人なら、一度はデータベース化を考えたに違いない。かくいう僕も、幾度かデータベース化に取り組んだことがある。しかし、途中で挫折した。途方もない情報量に圧倒されるとともに、どのように情報を整理してよいか悩み、結局は諦めてしまったのである。
 資料を限定し、ある程度枠を決めてやっていけば出来ないことはないだろう。例えば『綜合日本民俗語彙』に見える妖怪だけと限定すれば、目標もたてられるし、ある程度の分類は可能だ。しかし、それだけでは、いっちゃ悪いが使えないのだ。
 妖怪を調べるときは、あらゆるデータが欲しくなるわけだし、そもそも二次・三次資料は間違いも多いので、極力一次資料にあたりたいのが本音である。悲しいことに、妖怪関係の一次資料は古いものが多い。まとまってどこかの図書館にあれば便利だが、そんな図書館はない。「国会図書館があるではないか」という方もいるかと思うが、国会図書館にさえない資料はざらにある。ひとつひとつ探していては、時間もかかるし経費もかかる。そんなとき、「一次資料だけのデータベースがあれば……」と何度思ったことか。
 ── あらゆる妖怪のデータを集め、一次資料にこだわり、あせることなく長期に渡って作業を進め、営利目的ではなくあくまでも同好の志ができる範囲で協力しあう。まずは骨となる部分からはじめて、具合が悪いところは修正してゆく。そして、妖怪を調べたい人がいつでも利用できる──。
 化野さんよりこの白澤計画の話を聞いたとき、待ってましたとばかりに喜んだ。期間が限られていては、こんな途方もないことは絶対にできない。金がからんでくれば、何かともめ事が起こる。一人だけでは無理がある。相手が妖怪だけに、はじめから枠を作ってしまっては破綻する。化野さんはこのあたりのことを充分過ぎるほど理解していた。そして、実に綿密な計画を練っていた。
 「これならば出来る」と思った。こんな機会はもうないとも思った僕は、即決で協力する旨を伝えたのだった。快く迎えてくれた化野さんには感謝感謝である(まだ何もしてませんけどね)。
 さて、最後に。この白澤計画は完成しないと思う。完成させてはいけないとも思う。日本の中だけでも、どこにどれだけの妖怪がいるなんて誰も知らないし、また妖怪は過去のものだけとは限らない。完成するようなものではないのだ。しかし、より完成に近付けたい。それにはたくさんの賛同者が必要になる。できるだけ多くの人の手によって完成に近付け、できるだけ未来の人たちに妖怪の世界を伝えたい。これは僕だけの願いではないはずだ。
 どうか皆さんの手で、永遠に未完成であろう白澤図を作って頂きたい。

                       (むらかみ・けんじ/伝説探訪家)

もどる