妖怪の研究について知りたいけれど、何から読むべきか迷っているあなたのために。

 最初からメジャーな柳田國男や井上円了に挑戦するのもいいけれど、予備知識がない状態で、いきなり古風な文章で読みにくい名著古典の類を読むのは少しつらいかも。
 また、古典的な書物には、後の研究によって訂正されたり、今では疑問視されている説もそのまま載っているので要注意。まずは読みやすい入門書や概説論文で、これまでの妖怪研究のおおまかな流れをつかんでおくとよいだろう。

 これまで体系的に妖怪研究に取り組んできたのが民俗学くらいなものなので、ここで紹介する入門書・概説論文は、民俗学者によるものがほとんどだ。

 1-1. 今野圓輔 1957 『怪談』
社会思想社 教養文庫
 1-2. 今野圓輔 1981
『日本怪談集 妖怪篇』 (上)(下) 中公文庫

 この2冊は柳田國男に直接指導を受けた著者によるもの。その妖怪観は柳田の考え方を強く引き継いでいる。2は手ごろな価格ながら、沢山の妖怪譚を原文に近い形で収録しているお買い得の一冊。何よりもまずいろいろな妖怪に遭いたい人向け。

 1-3. 宮田登 1985
『妖怪の民俗学』

 都市論の視点から妖怪を読み解く一冊で、読物としても面白い。私たちが生きる現代と、数多くの妖怪達が息づいていた過去とが無関係のものではなく、ひとつながりであることがよくわかる。1990年に岩波同時代ライブラリーの一冊として再刊され、現在ではちくま学芸文庫に収録されている。

 1-4. 小松和彦 1994
『妖怪学新考』 小学館

 近年の妖怪研究を大きくリードしている小松和彦による概説書。妖怪研究の現状と課題の所在を知っておくためには欠かせない。上記4冊中から必読の1冊を選ぶなら本書だろう。最近、小学館ライブラリーで再刊されており入手も楽。

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 また、以上に眼を通した後に余裕があれば、下記の二冊も読んでおくとよいだろう。

 1-5. 江馬務 1923
『日本妖怪変化史』中公文庫

 柳田らの民俗学的研究に先行する風俗史家による妖怪研究。通史的概観や形態による妖怪の分類案などに見るべき点がある。中公文庫に収録(2004年再刊)されている他、『怪異の民俗学』2にも抄録されている。

 1-6. 藤澤衛彦 1960 『図説 日本民俗学全集』第四巻 民間信仰・妖怪編
あかね書房

 好事家的な色彩が強く、あまり学問ぽくない印象を受ける著作だが、風俗史家の視点から見た妖怪論には独特の臭みがあり、私的には好きな一冊。他では見ない図版も多く収録されている。巻末の「日本怪奇妖怪年表」も、今日の眼で見るとちょっとね、という点はあるが興味深い。
 現在は絶版なので、図書館や古書店で捜すとよいだろう。

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