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| 講座、大系の類に収録された論文は、その時々の学界の最新の成果を反映しているので、研究の流れを追うのに適している。論文的な言い回しに馴れていないと読みにくい部分もあるかも知れないが、少し背伸びして1から順に読んでみよう。 2-1. 今野圓輔 1959 「妖怪」 『日本民俗学大系』第8巻 信仰と民俗、平凡社 『怪異の民俗学』2 妖怪 、河出書房新社 に抄録 前半では「妖怪」=「零落した神」説、場所による妖怪の分類といった柳田系の諸説が整理されている。後半では「魔風」や「行き合い神」等を素材に「零落説」が再論されている。 2-2. 井之口章次 1975「妖怪の地域性」『日本の俗信』、弘文堂 長崎県の五島、対馬、静岡県清水市などの例をもとに、妖怪の地域的な差異について調べることの必要性を説き、同時にその見通しについて述べている。後にこのような視点を引き継いだ仕事をする研究者が見当たらないのは残念。 2-3. 井之口章次 1975「妖怪と信仰」 『日本の俗信』、弘文堂 『怪異の民俗学』2 妖怪、河出書房新社 に再録 信仰の側面から妖怪の起源について論じたもの。「算盤坊主」や「テンコロ転ばし」の起源についての意見には強引さも感じるのだが・・・ なお、今野、井之口らの論文は、柳田の強い影響下にある。その内容は柳田の分類や「零落説」に限界づけられていることに留意しながら読む必要がある。 2-4. 小松和彦 1983 「魔と妖怪」 『日本民俗文化体系』第4巻 神と仏、小学館 4は先に1で触れた『妖怪学新考』の第2部の原型(なので、1-4を読んでる場合は、無理に読む必要なし)。柳田以来の妖怪観を根本から問い直しており、従来の「零落説」には合致しない最初から「妖怪」として発生したモノの存在を指摘すると同時に、それらを論ずるべく「妖怪」の定義の見直しを図っている。 小松の妖怪論の理論的枠組みが提示された画期的論考。 2-5. 倉石忠彦 1988 「妖怪」 『日本民俗研究大系』第8巻 心意伝承、国学院大学 妖怪の分類、属性、出没する時間と空間等についての過去の議論を要領良くかつ簡潔に整理したもの。あまり新味は無い。 2-6. 佐藤憲昭 1995 「憑きものと妖怪」 『講座 日本の民俗学』第7巻 神と霊魂の民俗、雄山閣 過去の研究を手際よく整理した後、憑霊論の立場から「憑き物」と「妖怪」の関係について論じている。 |
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| 1と2で紹介した資料を刊行年の順に追い、あわせて河出書房新社から刊行された『怪異の民俗学』各巻末に付けられた小松和彦氏による「解説」に眼を通しておけば、過去の成果を踏まえながら進展してきた民俗学者や国文学者による研究の歴史が見えてくるだろう。 最初に必ずこれらの入門書や概説を読んで、研究史を頭に入れておかなければならないかといえば、決してそんなことはない。愛好家は専門の研究者ではないのだから、こうしたことは必要に応じて調べるのでもかまわない。 ただし、研究の流れを知っていれば、後々読む本が理解しやすくなるというのもまた事実。じっくり腰を据えてかかるつもりのある人は、これらに眼を通しておくほうがよいだろう。 |
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