以下は、私が知り得た範囲の限られた情報にもとづく平成の「くだん狩り」史の一断面にすぎない。
 『新耳袋』の木原・中山両氏をはじめとする他の「くだん」ハンターたちの動きを見渡した全体像を語るのは、また別の語り手の仕事となるだろう。暫定版と称する所以である。



 1999年8月

◎Webサイト「牛込櫻会館」 に設置された BBS「幻想的掲示板」上で、『幻想文学』誌の東 雅夫編集長が「くだん」に関する原稿を募集する告知を行った。
 これがすべてのはじまりだった。
 Web上を徘徊する妖怪愛好家たちの総本山「妖怪世界」を主催する兆氏が、この告知の全文を同サイトに転載。
 『幻想文学』6号以来の隠れ愛読者であった化野は、この告知を発見し驚喜する。岡山県下の牛妖関係資料の束を同誌編集部に送付すると同時に「くだん」をテーマにした紀行文「くだんの故郷」を投稿。


 1999年10月

『幻想文学』56号 特集「くだん・ミノタウロス・牛妖」発刊。「くだんの故郷」も入選作として同誌に掲載。

◎化野は東氏にあてた同誌最新号の感想を伝えるメールで、岡山の「牛妖」関係伝承地巡りの決行をそそのかす。この時「くだん狩り」の語がはじめて使われる。


 1999年12月

◎学研『ムー』の取材で、東 雅夫氏の「くだん狩り」が実現。化野は現地案内として参加することになる。

◎取材前日、図書館で資料探しをしていた化野は、偶然「くだん」の新聞記事を発見。昭和6年の5月頃、岡山県赤磐郡あたりで囁かれた噂を報告するもの。これは後述する『ムー』の記事の中で紹介される。


 1999年 12月5日〜7日

◎第一回「くだん狩り」決行。
 岡山県吉永の田倉牛神社をふりだしに、岡山県邑久郡牛窓町、同英田郡の天石門別神社、兵庫県の六甲山、京都は丹後の久美浜まで巡る3日間の強行軍。途中、『新耳袋』で「くだん」の話を扱った中山市朗氏や、「くだん」小説をものしたばかりのホラー作家岩井志麻子氏ら豪華ゲストへのインタビューもありという豪華な取材ツアー。いや、役得でした。


 2000年2月

◎第一回「くだん狩り」の成果が、東 雅夫氏によって発表される。題して 「世紀末を徘徊する預言者 妖獣 件の謎」。
 『ムー』2000年3月号に掲載されたこの記事は「くだん」ファン必読。


 2000年春〜秋

◎『日本怪奇幻想紀行』 巻之一が刊行されるなどのメディアへの露出により、「くだん狩り」の成果は着実に怪奇ファン・妖怪愛好家の間に浸透していく。「くだん」ネタの少女マンガまであらわれるのだから、凄いことになってきたものだ。

◎その後も資料探しを続けていた化野は、いくつかの資料を発掘。(今回、このサイトで公開する「くだん関連資料リスト Ver.01の中にさりげなく混ぜてあるので、「くだん」ファンはしっかりチェックしてみよう。今まであまり知られていなかった資料の書き手として、思わぬ大物二人の名を発見することができるはず。 )


 2000年11〜12月

◎「くだん狩り」に新しい展開。漫画家 柴田亜美氏が戦線に参入。
 柴田氏はなんと、東氏・担当編集者星野氏らをともなって、水木しげる氏がかつて「くだん」の剥製を実見したという別府温泉へ突撃取材を敢行。
 これはまさに第二回「くだん狩り」である。
 残念ながら今回は化野は同行できず。
 第二回「くだん狩り」の経緯は『ビッグコミック・スピリッツ増刊 山田1号』に掲載される。この「柴田亜美のぶらり地獄めぐり」では、「くだん」の剥製は焼却処分されたとの衝撃の新事実が報告される。写真も所在不明のまま。やはり「くだん」は幻か。
 だが・・・。


 2000年12月13日

◎長らく幻の存在であった『くだん』の剥製の写真が発掘される。驚くなかれ水木しげる氏の「くだん」の絵はリアリズムの産物だった、とは写真を見た東氏の言。
 いや、大発見である。この写真は2001年5月刊行予定の『ビッグコミック・スピリッツ増刊 山田2号』で公開予定とのこと。おおお、高まる期待。
(これらの詳しい経緯については
『東 雅夫HORROR*WEB』11月24日〜25日、12月13日あたりの記事を参照のこと)

◎同日、化野も知人を見舞った先の病院で新資料を発見していた。
 なんというシンクロニシィティ!
 病院の展示ホールにさりげなく掲示されていた大正時代の新聞に「くだん」の絵姿があるではないか。
 こ、これはずーっと前から捜し求めていた家伝薬の広告。
 な、なんと○のクスリではないかっ! 思わず我と我が目を疑う私。
 その時アダシノは茫然自失状態だった、と同行していた同僚のT氏、K氏に後でさんざんからかわれる(苦笑)。
 こちらの「くだん」広告は、機会をみつけていずれ何処かで公表します。乞う御期待。

 2001年5月
 柴田亜美氏の「ぶらり地獄めぐり」2 (『週刊ビッグコミックスピリッツ 山田2号』小学館)にて「くだん」の木乃伊の写真が公開される。
 水木しげる氏描く「くだん」とそっくりなポーズ。妖怪愛好家は狂喜。

 2001年5月〜

◎現在、関係者は緩やかな連係を保ちつつ、継続して新資料の探索にあたっている。
 新たな「くだん」資料を発掘するのは、あなたなのかもしれない(照れ笑)。





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